働き方改革~長時間労働の削減に向けて~

昨今、働き方改革、特に長時間労働の削減については、さまざまな議論がなされています。政府においては、安倍総理が議長を務める「働き方改革実現会議」、企業においては、あのモーレツ社長でお馴染みの日本電産㈱の永守重信会長兼社長が「2020年には残業ゼロにする」と宣言されました。さらに、大手広告代理店における過労死事件など長期労働時間の削減は社会問題であり、その解決は急務となっています。そこで、長時間労働の削減に向け、各階層においてどのような取組みをすべきかご紹介したいと思います。 

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1.トップマネジメント ~目的の共有と意思表示~

トップマネジメントとは、いわゆる経営者です。経営者は戦略的意思決定を行い、その決定が組織に及ぼす影響力は絶大です。

残業ゼロの目的は、社員の健康管理、生産性の向上、社会的責任など企業によってさまざまです。経営者自らが、目的を明確にし、それを社員が納得し、全社で共有する必要があります。また、その目的と取組む姿勢を示し続けることで、その本気度が伝わり、より高い効果が発揮できます。例えば、日本電産㈱の永守氏は、さまざまなメディアを通じてメッセージを出し続けています。

 

2.ミドルマネジメント ~仕組み作りと人材育成~

ミドルマネジメントとは、部長・課長などの中間管理職です。中間管理職は、管理的意思決定、具体的にはトップマネジメントが設定した全社的で基本的な政策を受け、自分が担当する部門においてそれを実現させるために、組織を編成し、目標を与えて実行させるなど戦術レベルの意思決定を行います。

残業ゼロに向けては、業務を効率化する必要があります。そのためにはまず「業務の見える化」を図ります。さらに、それらの業務を重要性と緊急性の2軸で判断し、重要性かつ緊急性の高い業務から取組み、それが低い業務の削減を判断できる仕組み作りを行います。

加えて、部下の知識・経験・能力の棚卸しを行い、それと業務のギャップを把握し、部下の目指すべき姿を明確にしたうえで、目標設定し、実践していくサイクルを通じて、人材育成を図る必要があります。

 

3.ロワーマネジメント ~思考の見直しと作業改善~

ロワーマネジメントとは、係長やグループリーダーなどですが、一般社員も含まれます。この階層は、与えられた目標や業務の仕方を前提として、実際の業務を遂行するための戦闘レベルの意思決定を行います。

この階層では、スピードアップが最重要課題です。そのためには、作業を始める前に、「ゴールから考える」、「フレームワークで考える」という仕事に対する思考を見直す必要があります。また、例えばデスクワークが中心の業務であれば、資料作成におけるショートカットキーの利用やエクセル技術の向上など作業レベルでの改善を図る必要があります。

 

本コラムでは、階層ごとの取組みについて、概要を紹介しました。より具体的な内容は、書店において「残業ゼロ」や「仕事が速い」、「定時退社」で検索すれば、さまざまな書籍で紹介されています。それらのなかから、1つでも取組むことができれば、大きな効果を生みますので、ぜひ一度試していただきたいと思います。