品質維持と業務効率改善環境の必要性

以前、とある工場で、製造業について学ぶ研修に参加した際、工場長からこんな質問をされたことがあります。「Q・C・D、これらはどれも重要ですが、敢えて、重要度が高いものから並べるとすると、どのような順番になるでしょうか?」。

皆さんは、どのような順番だと思われますか? あくまでも、一般的な場合と前置きをされていましたが、順番はQ→C→Dとのことでした。

理由は、品質の低下が後に続く、コストや納期に大きく影響を与えるからだとのことでした。工場内での手戻り作業の増加、市場に出回った不良品の回収、これらは、コストだけではなく、納期の遅れにもつながっていきます。

実は、モノづくりの世界だけではなく、営業活動においても同じことが言えます。顧客訪問前の顧客情報収集・分析、仮設立案、提案内容の精査など、提案準備の段階から品質をチェックしておく必要があります。

提案段階においても、こちらの提案とお客様の認識にズレが無いかなどをチェックすることが必要となります。

これらの品質チェックを怠ると、提案内容の大幅な修正を招いたり、最終的にお客様がイメージしていた内容と異なる商品・サービスを納品してしまうなどの大きな問題を招くことさえあります。

 

このように企業活動全般において非常に重要な位置を占めている品質ですが、昨今の人手不足により、一人当たりの業務負荷は増大しつつあります。業務量が増える一方で残業時間削減を進めれば、目の前の業務をこなすことで手一杯となり、いずれは、十分に品質チェックをする時間が確保できなくなってゆく可能性があります。

経営陣が現場の状況を理解せず、個々の従業員の改善活動のみに期待し、「業務効率の改善に取り組んでください。」との掛け声だけで改善がはかれると考えているようであれば、品質問題を生み出す土壌が形成されていくことになるでしょう。

今後の企業経営においては現場の業務負荷を正しく把握し、業務負荷を軽減するような具体的な「環境」(例えばRPAの導入など)を積極的に提供していく姿勢が以前にも増して求められる時代になっているように感じます。