「百年企業」は「ゴーイングコンサーン」のヒントの宝庫

私が中小企業診断士の勉強を始めたころ知ったものに「ゴーイングコンサーン」という言葉があります。
これは「企業とは継続していくもの」という考え方で、経営者は企業を継続させていくために
日々の企業経営を行っているのだということです。
また、「ゴーイングコンサーン」のためには、ただ利益を稼げるだけ稼げばいいのではなくて、
企業を継続していくために必要な利益だけを企業に残し、残りの利益は顧客、取引先、従業員などの
ステークホルダーに還元し、貢献することが大切だということでした。

このような考え方は、それまで企業とはとは利益を追求するものと考えていた私には、
とても新鮮に感じられたことを覚えています。

ところで、年も明け2017年に百周年を迎える企業についての記事を目にしました。
有名な企業では、富士重工業(株)、(株)ニコン、森永乳業(株)などが
今年百周年を迎え、「百年企業」になるそうです。
「百年企業」というのは、創業以来百年以上事業を継続している長寿企業を指し、
なんと世界の「百年企業」のうち約8割が日本に存在するいうことです。
また、2万社を超える「百年企業」のうち大部分は中小企業がしめており、
たくさんの企業が地域に根を下ろし長年事業を行っておられるということです。

「百年企業」がなぜ長期間生き残ることができたのか?
「企業寿命三十年説」というものがあるように、創業から30年たつと
成長は鈍化し衰退期をむかえる企業が多いといわれるなか、
様々な時代の荒波を乗り越えてきた「百年企業」には、企業が「ゴーイングコンサーン」
であるためのヒントがたくさん詰まっているはずです。

百年企業の「大切にしているもの」「生き残りの秘訣」などを調べてみると、
・しっかりとした「経営理念」あり、代々受け継いがれている
・本業を守りながらも、環境の変化に柔軟に対応し変化している
・人(従業員)を大事にする
などの共通点があります。

これらは、企業経営の基本とも言えますが、特徴的だと感じたのは
従業員を重視する社風、方針を持っている企業が多いことです。
各企業により、一度採用した従業は解雇はしてはいけない家訓がある、
定年はない、社員もパートも同様の福利厚生がある等々、内容は様々ですが
従業員を家族、財産と考えて大切にしていることがわかります。

少子高齢化を迎える日本の企業、特に中小企業にとっては、良い人材を確保することが
困難な時代になることが予想されるため、このように従業員を重視する姿勢は、
企業を経営する上で非常に参考になるのではないかと思います。

先述したように、日本には大企業から個人商店のような小規模企業まで
多数の「百年企業」が存在しています。皆さんの身近にもお手本ととなるような
「百年企業」があるはずです。
実際の企業を訪れてみたり、書籍やウェブサイトなどで調べるなどして、
「ゴーイングコンサーン」のためのヒントを捜してみてはいかがでしょうか?